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常にリラックスした身体を手に入れる!

演技の方法/訓練
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Hello world!nora3です。

前回は、演じるための「準備の準備」についてお話ししました。

 

今回は身体的準備の「①常にリラックスした身体を手に入れる」について詳しく説明していこうと思います。

俳優や大勢の前でパフォーマンスする必要がある人はもちろんですが、特にそんな予定のない会社員の方や学生さんや主婦の皆さんでも、緊張状態でいるよりは、リラックスした状態でいた方が楽だし、身体的にも精神衛生的にも良いのは皆さん納得だと思います。

「いや俺はそんなダラケた状態よりも緊張感あふれる表舞台でピンと張り詰めたタイトロープの上を歩きたいんだ、スリルとストレスこそ俺の親友だ」という人もいるかもしれませんが、たとえそういう人であっても、心身ともに緊張した状態は、持っている能力を存分に発揮するためには、望ましい状態ではありません。

一般に精神的には、目の前の目標によってある程度のプレッシャーがかかっていて、それに伴う緊張感もあって、しかし自分はそれを成し遂げることができると感じていて、なおかつ身体的には力が抜けてリラックスしている状態が、一番能力を発揮できる良い状態であると考えられています。スポーツの世界などで、よく「ゾーンに入った」などと表現される、あの状態ですね。

皆さんは「ゾーン」に入った経験をお持ちでしょうか?

俳優の仕事も、ゾーンに入ることが「必須」であると言えます。例えば、大きな舞台で2000人くらいのお客さんが見ているけれども、舞台の上には自分の部屋のセットが組んであり、そこで一人でくつろいでいたりしなければいけないわけです。

体が緊張していれば、「緊張しているな」とお客さんに伝わります。同種の生物同士ですから、その辺は伝わってしまいます。「くつろいでるな」と思ってもらうには実際に「くつろぐ」必要がある。心身ともに脱力し、リラックスしていることが求められます。

ただし、ここがちょっとわかりにくいところかと思いますが、本当に心身ともにボケーっと、ダラーっとなってしまってはダメなわけです。その場面の「役」としてはそれでもいいんですが、「役」を演じている俳優としては、身体は脱力しきっていて、なおかつ頭は冴え渡った状態でいることが望ましいです。スポーツ選手と同じですね。

要は「リラックス」という言葉の捉え方です。「ゴロゴロしてる」とか「だらけた」とか「ボーッとした」とかの状態と「リラックス」した状態を一緒にしてはいけません。

「リラックスした状態」とは、「全身の筋肉に余分な緊張がなく脱力していて、精神的には静かに落ち着き鮮明に冴え渡っていて、何かの刺激でパッと動き出せるような状態」と言えます。

この辺のことについては今後も何度も書くことになると思いますが、とにかく演じるにはそういった状態が望ましいわけで、私たちができる準備としては「そういう状態に入りやすい身体」を手に入れておくことが挙げられます。

これは、訓練で可能です。

具体的には、身体の中に「センサー」を作ります。「緊張センサー」です。このセンサーができあがると、舞台上でも、カメラの前でも、またもちろん日常の様々な場面でも、このセンサーが自動的に緊張を感知し、本人のその時の状態や行動と関係なく、勝手に脱力させてくれます。

 

「緊張センサー」の育て方

①椅子に座り全身の力を抜く
別に椅子でなくても、大の字に寝てもいいし、上達すれば最低限の力で立ったままでもできるようになりますが、最初は椅子に座るのがいいでしょう。楽チンな椅子でなくても普通の椅子で大丈夫です。楽な姿勢で座り、目を閉じ、全身の力を全て抜くつもりで脱力します。両手はぶらんと両脇に垂れ、足もガニ股気味、口は半開きで頭もガックリと垂れた状態です。ここから始めます。

②全身の大小全ての筋肉を探し動かす
要領としては、頭のテッペンから超ゆっくりと下に移動しながら一つ一つの筋肉をスキャンするイメージで探し、動かし、脱力したことを確認していきます。具体的には、頭頂部→おでこ→眉毛→眼→耳→頬→小鼻→上唇→下唇→顎→舌→喉仏→首筋の順で、それぞれを動かす太い筋肉から極細の筋肉まで、ひとつも見逃さないつもりで動かし、緊張→弛緩を繰り返します。強張った筋肉は動かすことで血液が流れ柔らかくなり力が抜けます。脱力したら、同じように身体をスキャンしながら首から下に進んでいきます。

③足先まで進んだら頭に戻って繰り返す
全身の全ての筋肉を動かし、解きほぐしながら下に進んで行き、足先の小指の筋肉まで終わったら、また頭のテッペンに戻って繰り返します。2回目以降は、すでに全ての筋肉を一度動かしているので、弛緩している筋肉はスルーし、まだ緊張が残る筋肉を探す感じでスキャンし、見つけたらそこを動かし解して、次に進んで行きます。慣れてきたら、見逃しやすい背中や腰回りの細かい筋肉、内臓を動かす筋肉なども意識して解していきます。緊張している筋肉を赤色、解れた筋肉を緑色とイメージして、全身をグリーンで塗りつぶすような感じで取り組むと楽しみながら集中してやれます。

この訓練は、「緊張センサー」を身体中に設置し、常にリラックスした状態に身体を保てるようになるための方法ですが、もう一つ、自分の身体に敏感になるという効能もあります。身体の奥深くの極小の筋肉までイメージし意識して動かすので、集中力が高まり、深くなります。

つまり、演じるために必要な「ゾーン」の状態、「全身の筋肉に余分な緊張がなく脱力していて、精神的には静かに落ち着き鮮明に冴え渡っていて、何かの刺激でパッと動き出すような状態」に「入りやすい身体」を準備する、という意味で、大変効果の期待できる方法です。

週3日なら一年、週5日なら半年もすれば、身体のあちこちにセンサーができていることを実感できるでしょう。身体のどこかが緊張していることを気持ち悪く感じ、緊張を見つけるのが格段に早くなっていることに気づくはずです。さらにやればさらに深化し、訓練中だけではなく日常の中でも、緊張を見つけた瞬間に、もう緊張が抜けています。筋肉を動かす必要もなくなります。緊張と弛緩のスイッチングを筋肉自体が覚え、自分で特に意識しなくても、緊張すれば勝手にスイッチが切り替わって弛緩するようになれば、完成と言えるでしょう。

これは演じるための基本の基本の部分で、スポーツ選手が毎朝するジョギングのようなものですが、その効果は絶大です。

自分の身体の隅々まで知り尽くして、意のままにコントロールする。そしてその身体の状態は常に「心」と深くつながっており、強く影響しあっています。

この基本が、演じるためにどれほど重要であるかがわかると思います。

特に演じる必要のない一般の方にとっても、ストレスのない気持ちのいい身体を手に入れ、澄み渡った集中力を身につけるという意味で、取り組んでみて損はないと思います。

演じたい人も演じたくない人も、とりあえず一日15分から始めてみましょう!

 

「緊張センサー」をコツコツ育てよう!
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