溢れ出るイメージで遊ぶ!

演技の方法/訓練
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Hello world!nora3です。

さて。「演じる=準備すること」なんですが、準備するためにも実は準備がいるよ、ということで、まあ普段というか日常の心構え、心掛けのような事を「準備の準備」としてお話しているわけですが。

準備するための準備?
Hello world!nora3です。 前回は、「演技=準備」準備することが俳優の仕事のほとんど全てなんです。というお話をしました。 で、今回はもう一歩進んで、準備にも色々ありますよ、というお話です...

 

前回までで「身体的準備」編のざっくりした説明を一通りしたので、今回からはいよいよ「精神的準備」編に入っていきたいと思いまーす。

みなさんよくご存知のように、身体と心はお互いに強く作用影響し合っていて、心が先か身体が先か、まるで卵と鶏の関係のごとく、心が芽生えて身体が動き、身体が感じて心が動くを繰り返しています。前回までの身体的準備編でお伝えした事は、要するに「心の動き」に影響を受けやすい身体、「心の変化」に追従して正しく変化できる身体を手に入れることを目的としたものです。

そして心も、身体の影響を受けやすいほうが良いわけです。「身体の変化」に追従して、「正しく(作り物ではなく自然に)」変化できたほうが良い。そういう心を育むための準備、です。

というわけで、今日は身体的準備の❶「溢れ出るイメージで遊ぶ」についてお話していきまーす。

突然ですが、大変大切な事を言います。
「感情は作れません」
大事な事なのでもう一度言いますね。
「感情」というものは「作れない」んです。

「そんなことないだろ?あの俳優もアノ女優だって、みんな感情を作って泣いたり笑ったりしてるじゃないか」と思われる方も多いかと思いますが。

「感情」という奴は、人間の手に負えるようなシロモノじゃありません。勝手に起こって暴れ回り勝手に去るものです。人類史が様々な事件や悲劇に彩られているのは、人が感情の嵐に対して微々たる力しか持たないことを暗示しています。

しかしそんな「感情」も、火のないところに煙は立たない的なこの宇宙の法則に則って存在しているわけですから、本人の自覚無自覚に関わらず、必ず「きっかけ」や「原因」や「スイッチ」があって起こってくるわけで、その「スイッチ」については、人が準備することが可能です。

「感情そのもの」は作れないけれども、「感情が起こるスイッチ」は準備できるわけです。

普通に生活していて、自分の身体と心を観察していると、五感全てが感情のスイッチにとして機能していることが判ります。視るもの、聴くもの、嗅ぐもの、味わうもの、触るもの。それらが全てがスイッチとなって、感情が勝手に湧き上がってきます。

そしてさらにもう一つ。よくよく自分を観察していると、五感以外にも、大変重要な、もしかしたら一番大きなスイッチがある事に気づくでしょう。

それが「イメージ」です。

頭の中のイメージ。そこには映像があり音があり匂いも味も触感もあります。実際に身体で感じているわけではないけれども、もう一つの五感とも呼ぶべきものが、時によっては現実以上の鮮明さでもって繰り広げられる世界。

そしてこの「イメージの世界」は、脳内にあるだけに大変容易に「感情」に「直結」します。

そう。まさに直結。
演じる人なら、これを利用しない手はありません。

どんなイメージが、自分にどんな感情を引き起こすかを検証し、使えるイメージを脳内の「イメージ図書館」に蔵書として蓄え、実際の役やシーンに生かすわけですが、それはまだ先の話。

準備の準備の段階では、とにかくイメージで遊んでしまいましょう。子どものゲームなんかと一緒です。とにかく遊ぶことでいつの間にか使い方を覚えるという、アレです。

どうやって遊ぶか?
遊びですから、好きに遊んでいただいて結構です。とにかくイメージはイメージというだけあって正に単なるイメージですから、もう、なにをやろうがなにを出そうが誰にも文句は言われません。目の前にゴジラを出そうが、海の水を飲み干そうが、地球を真っ二つに割ろうが、まったく自由で、本当の自由が許される世界です。ハメを外さなきゃ損、です。

とは言うものの、なんの例も提示せずでは不親切男のソシリを受けるやもしれませんので、実際に僕が使ってみてオモシロ楽しく、なおかつ実際に効果があったものを、いくつか挙げておきましょう。

空を飛ぶ鳥を見たら、その視点をイメージ。上空からの鳥の目線。静止画ではなく動画で。風の音や、顔や翼に当たる風の抵抗もイメージ。要するに自分がその鳥になってみる。他の動物を見つけた時も同様に。
足の裏に画鋲が刺さっているイメージ。上手くイメージできれば、なんの苦労もなく演技する必要すら無く、自然なビッコをひく事ができる。痛みすら伴う気がする場合も。
頭に1円玉くらいの穴がいくつか開いているイメージ。頭を傾けると、穴から血がダーダーこぼれて床が血だらけに。無理なく虚な目の不気味な男に変身できる。
心臓の中に白熱電球が入っているイメージ。激しく動けば割れてしまうので、自然と胸に重病を抱えたような慎重な動きに。暖かく点灯すると幸せな気分に。
部屋中に○○コが塗りたくってあるイメージ。どこも触れない。特に演技しなくても潔癖症の人みたいになれる。

・・・etc

こんなアホみたいなイメージ遊びがなんの役に立つ?と言うなかれ。
子どもは「ごっこ遊び」をしている間中、その世界を信じ、没頭し「なりきって」いるのです。

架空の世界を信じ、没頭し「なりきる」。
これは演じる事そのものです。

そして、この「イメージ遊び」を支える「イメージ力」を育む日常の習慣としては、断然「読書」をおすすめします。

読書している間中、あなたは無意識のうちに全てをイメージし、創り出しています。登場人物の顔、動作、風景、室内の様子、料理の匂いや小さな物音まで・・・文字だけのメディアなので、全てを自分の脳で創る必要があるわけで、自然とイメージ力が養われます。そして実際、イメージ力が付けば付くほど読書はどんどん面白くなるので、好循環が続きます。

また、僕は自分で意図的に夢の中に入っていく方法も実践していました。今でもたまにやります。名付けて「自分の力で夢に入る術」。そのまんまですが。

やり方としては

1. 布団に入って眼を閉じます。

2. まぶたの裏側の模様をじっと見続けます。

3. だんだん模様が浮いて流れたり、グルグル回ったりし始めますが、かまわず見つめ続けます。

4. そのうち模様が意味のある形に見えてきます。魚やクジラになって目の前を横切ったり、雨や雲や川になったり、動き回る虫になったりしますが、なにも考えず、ただそれを見続けます。

5. そのうち音も聞こえてきます。なにかの歌や電車の音や足音や、誰かが話しかけてきたりもします。見えるイメージもかなり鮮明に具体的になり、大切な人や知り合いの顔が出てきたりします。ここいらはたぶん現実と夢の境目のあたりです。

6. そのままドンドン夢の領域に入っていきます。夢の中でしか起こらないような事が次々と起こりますが、もう眠り始めているので、そのあり得ないイメージを現実のように感じています。また、さっきまでただ見ていただけだったのに、今は自分が実際にその状況の中に居るように感じます。

7.そのまま夢に突入し、夢から覚めるまで展開されるイメージを現実だと信じ続けます。

この訓練の面白いところは、最初にまぶたの裏に浮かぶイメージも、そこから夢に突入するまでのイメージの変化も、また夢自体も、全く自分では意図していないけれど、紛れもなく自分の脳内で創り出したものだ、ということです。脳はこちらがなにも求めずとも自由にイメージを創り出し、こちらはそのイメージをまるで知らないものとして受け取り、信じる。
これこそ本当のイメージ遊び、脳内遊び、といった感じです。
寝る時に誰でも簡単にできるし、夢もほぼ確実に見れるので、オススメです。今晩でもぜひやってみてくださいね〜。

というわけで、本日はこれまで!

 

「感情」のスイッチは五感とイメージ
イメージ力を育みイメージで遊び倒そう!