Hello world!nora3です。
前回から精神的準備編に入っていますが、本日は❷「ニュートラルな精神を保つ」について説明していきまーす。
「ニュートラルな精神」というと、わかったようなわからないような感じですが、要は身体的準備編の③「ニュートラルな身体を手に入れる」でも説明しましたが、身体的だけではなく、やはり精神的にもニュートラルでいた方がいいですよーというお話です。
ニュートラルでいた方がいい理由も、身体の場合と同じです。俳優は、感情においても、興味関心の範囲においても、良否善悪の判断にしても、一般の人とは比べ物にならないくらいの縦横無尽な守備範囲を、役によって求められる可能性があります。それになるべく早くスムーズに対応しようと思ったら、普段は振り幅の中間点にいるのが最も良いわけです。色で言えば「白」でいることです。そして、与えられた役によって、赤にも黒にも自由に染まって、終わればまた白に戻るようにします。
テニスの試合を見ていると、右に走ってボールを打ったらまたすぐにセンターに戻り、左に走って打って、またセンターに戻るという動きを繰り返していますよね。どこに打たれても打ち返せるように、常にセンターに戻っているわけです。
職業俳優の場合は、当たり役があれば、いつも色付きの状態でいてもいいかもですが、訓練中の場合や、全く違う色々な役を演じたい場合は、やはりニュートラル、白、センターを保つように心がけるのがいいと思います。
そう言うと「でも、そんなことをしていたら没個性な俳優(人間)になってしまうのでは?」と心配する人が必ずいるんですが、そこは心配する必要はないかなと僕は思います。
ちょっと話が逸れますが、例えば高校なんかで完全に制服が決められている学校と、自由な私服での登校が認められている学校がありますよね。当然私服の方が見るからに個性的だし自由に思えます。でも、同じ制服を着たからといって、全員同じ人になるわけじゃないですよね?さらに言えば、全員同じ制服姿だからこそ、個性が見えやすいとも言えると思うんです。
結局人間は「裸」で生まれてくるわけなので。色とりどりの私服で個性を「演出」することはできるけれど、服を脱げば全員裸で、では裸になったら没個性になってしまうかといえば、そんなことは全くないわけで。そういう意味で私服よりは制服の方が「裸の状態」に近いと言えるし、普段から色付きでいるよりは、ニュートラルでいる方が「裸の自分」「本当の個性」が見えやすいとも言えるのでは、と思います。
では次に、ニュートラルな精神を保つために、日常の中で具体的にどのようなことを心掛けて過ごしたらよいかですが
1.多くの人の話を聞いたり本を読んだりして、様々な意見や考えに触れる。
2.色々な人がいることを面白がり、批判や判断をしない。
3.理論武装しない。確固とした自分を作らない。「おぼろげ」な自分でいる。
4.なにもかも飲み込む大きな器になったつもりで。
5.自分を小さくして、自分の心は放っておく。
6.相手の心を見る。その連鎖を見る。因縁を見る。
さあ、なにやら宗教くさくなってまいりました!でもそういう類ではないのでご安心を。
簡単に説明をすると、1と2は「色々な人がいることを知り、楽しむ」ということで、3、4、5は「自分を重視しすぎない」ということ。6は「人の心の動きを知り、その作用反作用を知る」ということです。
1と2は「人間コレクション」の勧め、です。いろんな意見のいろんな人達がいて、その一人一人が全部違っていて、だから世界は面白いと実感することです。これは色々な役を演じるのに必ず役立ちます。
3、4、5がわかりにくいかなと思いますが、要は自分の心を他人の心と同じように扱うということです。自分の心がなにかを言ってきても、「だから何?」といった感じで放っておけばいいんです。自分の心の言い分だからといって、自分がいうことを聞く必要はありません。
6は特に大事かなと思いますが、なんのために自己を小さくするかといえば、自分の外側に視界を広げるためです。いつも自分の心を見ているのをやめて、目の前の誰かの心を見て、その心がどんな言動になり、どのように周囲に影響していくか。影響を受けた別の心が、また別の心に作用して、新たな言動が生まれて・・・という因縁(原因と縁)を見るよう心がけることです。演技は一人ではできません。人と人の間に生まれる作用反作用こそが演技であり、価値のあるものであると言えます。
今回の話は、特に演じたりしない一般の人にとっても、だいぶ有用な内容なんじゃないでしょうか。
「俺が俺が〜」「ワタシがワタシが〜」でだいぶモメたり、「なんで自分ばっかり・・・」みたいにヒクツになったり、「俺が正義、オマエ悪」「いや俺こそ正義、悪はオマエ」みたいになってお互いに疲弊したり、「アイシテクレルナラアイシテアゲナクモナイ」とか言っちゃう自分本位の王様や女王様みたいな人が、あなたの周りにも結構いたりするんじゃないでしょうか・・・とりあえずココに一人いますけど・・・もしかしてアナタも??
いやでもね。
この辺をちゃんとするのはホント難しい。
長年やってますが、ぶっちゃけワタシにゃムリですね(遠い目)。
でも、心掛けだけでも、ね。
全然違いますから。
いやホント。
というわけで、本日ここまで!