Hello world!nora3です。
2回に渡り「竈門炭治郎」クンを例に、キーワード決め、イメージ選定、アイテム実装などを学んできましたが、前回はちょっと悪ノリしすぎて脱線しちゃいました。すみません。
nora3@Acting的「竈門炭治郎」誕生まであと後少しなので、本日もユルユルと進めていきたいと思います。
①役のイメージをはっきりさせる
②イメージに合ったアイテムを探す
③アイテムを実装し慣らし運転する
④徐々にアイテムを内包し「へそ」化する
⑤役によく似た自分で暮らす
前回で③までやったので今日は④からやっていきますよー。
ちょっとお疲れなので、今日は短めに・・・。
④徐々にアイテムを内包し「へそ」化する
なんのこっちゃ?って感じですけど、結構大事な段階なんです。
前回作って実装してみた「炭治郎アイテム」ですけど、アイテム実装しているだけで疲れちゃったり、アイテムを保持するのに一生懸命で相手役や周囲の状況が見えなかったりしたら本末転倒なので、アイテムを装着した状態が「普通」であるようにする必要があります。
①〜⑧まである「炭治郎アイテム(前回参照)」ですけど、後半の「⑦強竜巻」状態や「⑧ヒノカミ神楽」状態は、炭治郎にとっても「非日常」なはずなので、その辺はとりあえず置いておいて、「①キラキラ輝く」〜「⑥体内で小竜巻発生」くらいまでを、日常的に普段使う体力でカバーできるようにしていきます。
新しく生々しい傷口が、やがてカサブタに覆われ、その下で浸出液が徐々に傷口を癒し皮膚を再生する・・・ボルトや人工臓器を異物と認識し拒否していた身体が、やがて異物に慣れて適応し、異物を包み込んで同化し機能する・・・接木された木が、容易に接木部分を受け入れ、繋がり、養分を運んで花を咲かせる・・・ジャングルに墜落した飛行機に蔦が絡まり木々草花が機体を覆い、長い年月の果てに違和感の無いジャングルの一部となる・・・そういった「再生」「内包」「同化」のイメージを、自分の中に取り込んだ「アイテムという異物」に適用し、「自分の一部と感じている」状態を目指します。
「へそ」というのは、「自分の一部になったアイテム」の象徴です。人間は、母胎の中でへその緒を通じて自己の形成に必要な栄養を受け取ります。役を大づかみにするのに必要なイメージをアイテムから受け取るのと同じです。そうして自発的な呼吸や栄養摂取が可能になると母胎から出て、へその緒は役目を終え、へそだけが残ります。へそ自体はなにかの役に立つわけではないけれども、それがなければその人間の存在はないわけです。アイテムも一緒です。アイテムから受け取ったイメージが根付き、自発的に機能し始めれば、アイテム自体は必要ありません。しかしそれがなければその役自体存在できなかったという意味で、「へそ」と「アイテム」は同じです。
「役」はそれらしく育つためにアイテムを必要とするけれども、やがて「自立」しアイテムを必要としなくなり、アイテムは「へそ化(確かにあるけれど意識されない存在)」するわけです。
「へそ化」したアイテムはなんの役にも立たないけれど、演技に邪魔にはなりません。そういった意味で使ったアイテムは、もれなく「へそ化」したほうがいいです。
やり方は難しくありません。稽古場や自室でアイテムを装着して、「炭治郎アイテム」なら①〜⑥くらいまでを繰り返し確認しながら、異物である「輝く水槽」に肉が巻き付き、神経が根を伸ばし、やがて血管が走って、ジャングルの草木が墜落機を自分に取り込むように、水槽が自分の肉の一部になっていくイメージ、もしくは水槽のガラス成分が自身の肉に浸透しグラスファイバーで形成したような柔軟なガラスの肉体に近づいていくイメージなどを使い、とにかく「この輝く水槽は自分の一部だ」と思える方向に持っていきます。
こう書くと難しそうに聞こえるかもしれませんが、やってみればわかります。そんなに難しくありません。割と簡単にそんな気がしてくるので大丈夫です。
どちらにせよ俳優には、作り物や空想の産物を「現実」だと信じる力がどうしても必要なわけなので、このくらいのイメージは楽々と信じてしまいましょう。
⑤役によく似た自分で暮らす
あとは、仕上げです。
仕上げといっても、今はまだ「役を大づかみ」にしているだけなので、イメージの追加や、修正や、細部の装飾を施す余地や余白はたくさん残っています。
使ったアイテムも今は「へそ化」しているし、特に苦労しなくてもイメージが自発的に機能する状態です。
細部の仕上げは現場や稽古が始まってから監督や演出家と相談して決めていく部分なので、今大づかみにしているのは厳密には「完成した役」ではなく、「役によく似たなにか」なわけです。
そして、今回の「竈門炭治郎」クンの役作りを最初から見直して貰えばよくわかると思うんですが、ここまで使ったたくさんのイメージには、常に「自分に影響がある」イメージを選んできました。イメージというのは、スイッチです。効果的なイメージを使うことで、自分の中のスイッチを入れているわけです。スイッチが入る「きっかけ」をたくさん作っただけで、それに対するリアクションや変化や反応は、全て「自分自身」のものなんです。
だから、どんなに別人に見えたとしてもそれは別人ではなくて、「役によく似た自分」なわけです。
役によく似ているけれども、自分なので、じゃあそれで生活してみましょう、ということです。
具体的には、寝て、起きて、ご飯を食べて、外に出かけて、電車に乗り、買い物をして、友達や家族と話し、テレビを見て、お風呂にも入り、そうやって「役によく似た自分」として暮らしてみる。
そうすると、その役のいろんな部分がわかってきてとっても面白いです。
作品には直接関係ないようなことも、全部「役の深さ/厚み/実在感」につながってくるので、決して無駄にはなりません。アドリブやトラブルがあってもビクともしない役に育てることにもなります。
僕もよく役のまま街に出ていたんですけど、現実の日常生活の中に役をさらすことで、その役が「実際にこの世界に生きている」という感覚を強くすることができました。だって、実際に生活している人たちとコミュニケーションを取ったり、いつもの街でいつもの店に入ったりするわけなので、自由に会話をしたり、昼食のメニューを選んだりすることで、役に対して愛着と理解が進むのは当たり前ですよね。
ただ、家族や友人に変な顔で見られることは間違いナシ!です。
僕もただ役として暮らしているだけなのに、「え?なにやってんの?」みたいなことはしょっちゅう言われていました。どうも無意識のうちに変な動きとかしてるみたいで・・・でも、あなたが俳優だったり演技の勉強をしていることを知っている人なら、「ああ、また役の練習をしているんだな」とすぐに察してくれるようになるので大丈夫です。
はい。
これで一応、nora3的「竈門炭治郎」の「大づかみ」作業は終わりです。
もし途中でどうしてもうまくいかないようなら、「キーワード決め」「イメージ決め」「アイテム決め」のどこかに原因があるので、そこまで戻って、何度でもチャレンジしてみてください。それ自体が貴重な訓練になりますので。
あと、この方法を効率良く効果的に行うためには、普段からの「イメージ力」が大変重要なので、日常的に「溢れ出るイメージで遊ぶ」訓練だけは、欠かさずに継続しておくことをお勧めします。
本日は短く・・・って書いたんですけどやっぱりソコソコ長くなっちゃいましたねぇ。
まあ、「役を大づかみにする」ことはとっても大事、というかほとんどそれが全てなので、また今後も機会があるごとに言及していきたいと思っております。
また、今回竈門炭治郎くんの「役の設計図」を考えてみたわけですけど、実はアニメのキャラクターについて役作りを考えたのって、初めてだったんですよね。で、結構面白かったなあと。
なので、いつか「役の設計図シリーズ」とか銘打って、いろんなアニメキャラの役作りとか考えてみたら面白そうだなーなんて思いました。「マスオさん」とか「不二子ちゃん」とか「野原しんのすけ」とか・・・真面目に考えれば考えるほど面白そうです。
いつかやってみよーっと。
本日おしまい!